1/32 トラックシリーズ
三代目烈津號(れっつごう)

9月発売予定 \9,240(税込)

「VOICE OF FUJIMI」

第3話「大胆不敵に新発売!!」 著者 暗闇の帝王  2008.9.5
                                                  第1話  第2話

「ランナー・レイアウト」

パーツの形状や設置の方法の説明が一通り伝わっても、まだ困難を極める作業が残っていました。
それはパーツ分割とランナーレイアウトの構成です。
地味な作業な割に頭を最も使う作業であり、商品化の今後を考える上でも、最重要ポイントであるのがこれらの作業なのです。

例えば最初に渡されたレイアウト案では、飾り部品と車体を形成する部品が混在しながら配置されており、飾り部品も形を成すべき部品が別ランナーに点在しているという状況でした。
この配置だと、平型バイザーやバスマークといった使用頻度の高い部品を後々に転用する場合、ハシゴもデッキも全てをキットに封入させなければ、バイザー1つ転用が効かないでしょう。
このレイアウトは、今後一切のバリエーション化を考えず、烈津號だけと考えれば、問題は無いと思います。
しかし飾りだけを転用したい時、またはベース車を他の展開に、仮にする事になった場合、烈津號のキット丸々に更に追加部品を加えなければならないでしょう。
これではバリエーションモデルを開発する事になったとしても、商品単価は寧ろ、上がってしまうのではないかと思います。
最後に出たキットには、今までの全ての部品が入る事になれば、商品毎の価値も振り分けられなくなってしまいます。

ここはパーツ単位で車体を構成する部品、烈津號専用部品、流用可能な部品と、分類分けをしてからレイアウトを組まなければ、先行き使いやすいレイアウトにはならないと思います。
しかし、年式によって変る部品がドレであるとか、飾りでも頻度が高い部品はコレであると解るには、トラックに対しての知識が相応に無ければ当然のように把握しきれないのも事実です。

「パーツ割とサイズ」

他にも細分化されたパーツを組み立て易さと強度面も考え、敢えて1体成型に変える指示をした部分や、逆に1体になっている部品を分割させた方が良いという変更も、この時点で多く指摘をしていきました。
例のひとつとしてテールBOXの分割で説明したいと思います。
テールBOXのカバー部分には縞板の彫刻が入る関係上、3分割しなければ成型が出来ません。
だが当初の分割ラインは天板部分がカドを曲がり1/3程側面を下った辺りで分割されていました。
この分割だと、分割線が非常に目立つ位置に入ってしまいます。
しかもここはメッキ部品になり、全面に縞板の彫刻が入る事から、合わせ目を消す処理も出来ないでしょう。

しかしカバーのエッジの頂点に、角度切りした状態で斜め45度に分割ラインをもってくる事で、部品の分割線はエッジの頂点にしか出なくなり目立ちません。
角度切りをした接着面は接着シロの拡大にも役立つと同時に、真正面から見た場合の断面としてみても違和感が少ないという利点が出てきます。
何気ないことなのですが、こういった積み重ねが素組でも違和感の出ないキットに仕上がっていくと思います。

監修を請け負わせて戴き、感じたのは図面を見た時にキットの内容に圧倒されてしまわない事が大切であるということでした。
新製品で、魅力的なトラックが図面に描かれ、それが製品になるのだという喜びや興奮を抑え込み、淡々と事実と整合していく、ある種、冷めた気持ちで当らないとキットに飲み込まれてしまっては、見誤ってしまうでしょう。

「ボックス・アート」

中身の監修が終われば、次は商品イメージを作るBOXアートも重要な部分です。
高額商品になるであろう事は明白ですし、高級感ある商品イメージとフジミ模型独自のオリジナル性も出していかなければならないでしょう。

個人的に考えたのは、洗練されたCGを使ったグラフィックデザインに単色バックという、フジミがフェラーリシリーズで展開してきた手法で考えていくのが相応しいと思ったのですが、もう1つインパクトが欲しいと考え、絶対に外せないと考えたのが80Sレトロスタイルを語る上で外す事の出来ない「すずき文字」です。
パッケージに使う表記を是非とも「すずき文字」で飾って仕上げたいと考えるのは極々、自然な考えだったと思います。
そこでフジミ模型と、北茨城にある名門「すずき工芸」様を訪問してきました。
商品名とシリーズロゴ、そしてフジミ模型の社名をすずき文字で描いてもらうことで合意を頂けました。
成型品という部分だけでなく印刷物の方も拘りを満載し、「三代目烈津號」という商品は完成に向けて急速に歩を進めて行くのでした。

「最終審判の刻」

ボックス・アートまで進んだある日、試作成型品が届きました。
いよいよ図面や3D画像だけでなく成型品として手にする時が来たか・・と、感慨深いものがあります。
最終的な成型テスト品は、今回はメッキを施した物を送って貰いました。
というのも長年、構想していた「ウロコステンレス再現」のアイデアが間違っていなかったか否かの確認を早くにしたかったからです。

仕上がった部品を見て笑みが浮かびます。
ウロコステンレスの表現は、フジミ模型さんでも苦労をした部分ですが、自分の発想が間違ってなかったという想いと、失敗せずに良かったという安堵感を感じた瞬間でした。

発売日が決まっている以上、不満の残った箇所も当然ありましたが、期限の中で最善の形には、持って行けたと思います。
後は、皆様のお手元に届いた製品を是非とも眺め、組み、そしてV・O・F・で、読まれた内容を反芻して楽しんで頂ければと願います。

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